澄ました顔
「ちゃっす」
小さい居酒屋の暖簾を常連の客がくぐるような声がした。
顔を見てみると始めてみる顔。
30前半くらいの男性。
新規のお客さんだ。
水を出し、灰皿を催促され出す。
煙管で吸っている。
煙管は普通の煙草より香りが強く煙も立つ。店の中が一気に甘く包まれた。
「注文いい?アイスコーヒー」
と慣れた様に言う。
澄ました顔で外を見つめ、煙管も吸うし、この手のお客さんは喫茶店好きだろうからブラックだろうと想像つく。
頼まれてすぐアイスコーヒーを出しに行った。
ブラックかもしれないが、一応確認をしなくてはいけないので「ガムシロップとミルクは使われますか?」と聞く。
返事は「ああ、ミルク使う」
(ミルク使うんかーい)
頭の中でズコーと芸人みたいに転んだわ。そこはブラックにしとけや。澄ますな。爆笑したわ。
と、思いました。ウケた。
始めて来て私こういうお店慣れてますよ(スンッみたいな澄ました顔する人苦手。
黄昏るのはいい。澄ましちゃ嫌。